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民主党の温暖化対策ってどんなもの?(2)

[1]
先週から始まった
 「民主党の温暖化対策ってどんなもの?」
シリーズの第2弾です。
前回は、「前自民党政権の温暖化対策 [2]」について見ていきました。
今回からは、「民主党政権の温暖化政策」です。
数回にわけ徹底解剖していくので、宜しくお願いします。
今回は、国連総会の発表で全世界の注目を集めた、

温室効果ガス
 1990年比25%(2005年比30%)削減の根拠

を探っていきたいと思います。
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(写真は「政府、社会の問題、提言など [3]」さんから借用しました)


1.民主党の地球温暖化政策の歴史
国連総会での民主党鳩山総理大臣の発表は今でも印象に残っていますが、この削減案は突然出てきたわけではありません。先に行われた第45回衆議院議員選挙のマニフェストでも以下のように述べられています。

42.地球温暖化対策を強力に推進する
【政策目的】
・国際社会と協調して地球温暖化に歯止めをかけ、次世代に良好な環境を引き継ぐ。
・CO2等排出量について、2020年までに25%減(1990年比)、2050年までに60%超減(同前)を目標とする。
民主党の政権政策マニフェスト2009 [4]

更に遡ること野党時代の2008年6月 [5]2009年4月 [6]、民主党は廃案になりましたが「地球温暖化対策基本法案」を2回も国会に提出しています。


「地球温暖化対策基本法案のポイント」(クリックすると大きくなります)

この時点で、既に民主党は、温室効果ガスの1990年比25%の削減目標を掲げていたのです。
2.25%の根拠は?
ネット上で調べてみたのですが、残念なことに、根拠らしいものが全然見つかりませんでした。
(これだけ大風呂敷を広げたのだから、積上計算みたいなのがあるとイメージしていたのですが・・・)
この数値は時期的にみて、2007年2月に発表された「IPCC第4次評価報告書」からきた数値のようです。

 気温上昇を2℃未満に抑えるためには、大気中の温室効果ガス濃度を450ppm 以下に抑える必要がある(ただし、仮に450ppmに抑えたとしても、2℃を超えてしまう可能性は50%近く残る)。
 そして、450ppm に温室効果ガス濃度を安定化することを前提とし、かつ先進国が気候変動を引き起こしてきた責任を重視するという原則にたって、先進国・途上国の削減分担を考慮した場合、先進国は全体として、25~40%の排出量削減が必要であることをIPCC第4次評価報告書は示している。(リンク [7]

どうやら、民主党の25%という数値は、IPCCの意向をそっくりそのまま横流ししただけ数値なのかもしれません。これでは芸がなさ過ぎますね、残念です 😥 。
3.世界各国の動向
ちなみに、世界各国の動向はどうなっているのでしょうか?少し見ていきましょう。
IPCCの警告に基づき、EU(欧州連合)諸国は、すでに2020年までに、EU単独でも20%の削減を、他の国々が同調して排出削減の努力をするならば、30%の排出削減を実現する、と公表しています。
また、温暖化を否定し続けてきたアメリカのブッシュ政権は、京都議定書から離脱してしまったものの、オバマ新政権が誕生したことを皮切りに、排出削減に向けた積極的な姿勢を打ち出しています。現在は「2020年には、排出量を1990年時点のレベルに戻す」という目標を公表しています。

 <先進各国の中期目標(2020年)>
      1990年比  2005年比
日本    (25%減)  30%減 =基準年は05年比。
EU     20%減   (13%減)=基準年は90年比。
米国      (0%)   14%減 =基準年は05年比。
カナダ    (3%減)  (21%減)=基準年06年比で20%減を表明。
豪州     (5%減)  (10%減)=基準年00年比で5%減を表明。
注1)日本、EUは排出量取引や森林吸収分を含む。
注2)EUは、先進国と途上国の対応によっては90年比30%削減にすると表明。
注3)米国は排出量取引や森林吸収分を含む法案を審議中。
リンク [8]

なお、中国は「国内総生産(GDP)1単位当たりのCO2排出量を2020年までに05年比で大幅削減するよう努力する」と述べるにとどまり、インドは今のところ、温室効果ガスの排出規制をすべて拒否しているといった様子です。(リンク [9]

「中国は“肉食税”の計画を」 IPCC議長が設置訴え(リンク [10]

菜食主義者であるインド人のIPCC議長が、中国に対し、週1日肉を食べない「休肉日」を設けるよう訴え、「肉に課税する“肉食税”を計画すべきだ」と提案している・・・、IPCCを中心とした議論はわけのわからない状態になってる感じです
更に途上国は「先進国責任論」を主張しています。
「エネルギーを消費し、CO2を大量に排出することで経済成長してきた先進国こそCO2を削減すべき」
「もっとエネルギーを使いたい、削減目標はもちたくない、先進国が先に大きく削減すべき」
と主張し、自ら削減目標をもつことは拒否している状況です。
先進国と経済成長を目指す途上国の間に大きな乖離があるのが実情のようです。

ある経産省の中堅官僚はこう話す。「IPCCの第三次報告を読んだときは、自分と政府の力の無さを感じて、悲しかったですね。『B29に竹槍で立ち向かった』という太平洋戦争当時の日本の軍部の非合理性を私たち現代の日本人はよく笑います。しかし、同じ事を繰り返してしまったのかもしれません。政策決定過程の中で科学的合理性を追求する場面が少ないまま、日本は京都会議に勢いだけで欧米にぶつかってしまったのです。
(るいネット「京都議定書で嵌められた日本」 [11]

京都議定書の二の舞でなければいいのですが・・・少し心配になってきました
3.まとめ
結構調べたのですが、25%削減の具体的な根拠は結局わかりませんでした。
(誰かわかる方いらっしゃればコメントお願いします
★世界的主導権を握るためのアピールだけなのか?
★はたまた、欧州貴族への協力宣言なのか?(るいネット「小沢幹事長の英国訪問の目的は?」 [12]
先日のニュースによると、先述した「地球温暖化対策基本法案」は、来年の通常国会に提出されるようです。

小沢鋭仁(さきひと)環境相=写真=は20日、フジサンケイビジネスアイなどとのインタビューに応じ、鳩山由紀夫内閣が掲げる2020年までの温室効果ガスの削減目標である「1990年比25%削減」を盛り込んだ「地球温暖化対策基本法案」を来年の通常国会に提出する考えを明らかにした。
リンク [13]

25%の根拠はわからないままですが、来年から施行されようとしている法律の中身を知らないなんて、日本国民としてけしからんことです 👿
ということで次回は、「地球温暖化対策基本法」の具体的政策の中身を探っていくことにしましょう。

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