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宇宙太陽光発電の実用化にむけての動き

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石油から原子力の動きと平行して、太陽光発電の普及が伸びてきていますが、さらに近年では宇宙太陽光発電の実用化への動きが再燃してきています。宇宙太陽光発電は1968年にアメリカのピーター・グレイザー博士により提唱され、オイルショックをきっかけにアメリカ、日本、欧米を中心にして構想が本格化してきました。しかしコストがペイせず80年代にはいったん沈静化しましたが、2000年代に入り石油から原子力などのエネルギー事情の変化とともに、再び宇宙太陽光発電が注目されてきた。
宇宙太陽光発電ってそもそもどんなもの?
中日新聞 [1]から記事を引用します。

宇宙空間で太陽光を集めレーザーに変え、地上に送って発電する-。そんな夢の実現を目指す宇宙航空研究開発機構とレーザー技術総合研究所(大阪府吹田市)は、従来の二十倍近い37%という高い効率で太陽光をレーザーに変換する技術を開発した。
 実用化に一歩近づく成果で、宇宙機構の森雅裕・高度ミッション研究センター長は「二〇一〇年までに太陽光の変換装置を搭載した人工衛星を打ち上げ実証実験を始めたい」としている。
 宇宙での太陽光発電は大気や雲で太陽光が弱められる地上に比べ、集められる光の量が圧倒的に多いという利点があり米航空宇宙局(NASA)なども研究中。ただ地上にエネルギーを送るために損失の少ないレーザーに変えねばならず、その変換効率は約2%にとどまっていた。
 宇宙機構などは、イットリウムやアルミニウムなどでできたYAGという物質にクロム原子を加え、高温処理し、セラミックYAGという物質を開発。光が通ると一部をレーザーに変える「レーザー媒質」に使った。
 従来のレーザー媒質は太陽光中のさまざまな波長の光のうち、ごく一部しかレーザーに変換できなかった。セラミックYAGではクロムの働きで変換可能な光の波長帯が飛躍的に拡大。変換効率が37%に達することが実験で確かめられた。
 同研究所の内田成明主任研究員は「変換効率を上げる原理は確立できた。今後は衛星に載せる変換装置の設計を急ぎたい」と話している。
 <宇宙太陽光発電> 静止軌道などに人工衛星を打ち上げ、太陽光を利用して発電するシステム。地上での太陽光発電は日中に限られるが、宇宙では昼夜の区別なく太陽エネルギーを使えるのが利点。太陽光をレーザーに変換して地球に向けて照射し、地上の施設で発電する方式や、巨大な太陽電池パネルを備えた衛星を使って軌道上で発電し、電力をマイクロ波で地上に送る方式が研究されている。

なんともSFのような話ですが、技術的にはもう既に可能な次元にあります。
宇宙太陽光発電のメリットは
・化石燃料を使わないクリーンなエネルギーで地球にやさしい
・地上の太陽光と違って安定した電力供給が可能
・資源の枯渇がない

というのが、主な論調ですが、それって本当?
 
製造から運搬、打ち上げ、保守管理、受信施設、廃棄など、石油エネルギーや鉱物資源が当然必要。太陽光のエネルギーは地球に降り注ぐエネルギーの源ですから、そのエネルギーを利用することに不思議はないですが、本当に化石燃料や鉱物資源の節約につながるのか?
 
 
また、太陽光発電の拡大とともに、新たな資源問題も出てくるはず。例えば太陽光パネルのポリシリコンは生成過程で生じる有害物質による新たな環境問題も出てきている。太陽光発電もやはりこれまでの環境ビジネス同様に、環境問題のイタチゴッコの構造にあるのか?http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20369158,00.htm [2] 
 
 
また、この宇宙太陽光発電の潮流を牽引してきたのはフランスのようだが、環境問題とは裏腹に宇宙太陽光発電開発の背景には各国のどんな戦略があるのだろうか?
 
太陽光発電についてはいろんな疑問や課題があるにもかかわらず、プラス一色の論調にも違和感があり、作為的なものも感じます。太陽光エネルギーの可能性は本当にあるのか、ないのかを継続して追及してみたいと思います。
ただし、

生活側の意識そのものを元に戻し、『季節や天候に合わせて電気を使い、本当に必要なものだけ安定供給する』という生活スタイルが必要になってくると思います。そうすることで、安定供給のための高価な蓄電装置が激減し、規模や効率問題も一気に解決に向かいます。このように、代替エネルギーシステム実現は、自然に身をゆだねるという規範の再生にかかっている、ということではないかと思います。

るいネット [3]
のように、私たちの生活スタイルを変える事のほうがまず先なのだと思いますが。。この規範の再生なしに、いくら地球に優しい技術を開発しても、欺瞞なのでしょう。

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