みなさん、 こんにちは!
前回は、世界の気候(温度と降水量)により、大きな植生が決まっているのをみました。
今回は、「自然の恵みと先人の工夫」と言う観点から、私たちと深い関わりあいをもってきた樹木(針葉樹や広葉樹)の特徴について扱いたいと思います。

写真は「森林・林業学習館」よりお借りしました。
木材は最古の資材です。人が家屋を作る時はその地域の自然資源を材料にして作ります。木々の豊富な所では、木を構造材に使って家屋を建てますが、乾燥・草原地帯では、日乾レンガや石が使われます。
日本では縄文時代より木材住居等の建築物、食器や農具などの日用品に利用され6世紀以降は寺院の造営、築城などに大量に使われてきました。それでは、現代の日本ではどの様に使われているのでしょうか?
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■日本の家屋材は、広葉樹から針葉樹へ
温帯に位置する日本は基本的に広葉樹林です。ただし、標高の高い所では、寒帯の針葉樹が繁っていました。
古代の人々は家屋を作る際、最初は身近な広葉樹を使っていました。広葉樹は、樹形が折れ曲がっていますので、柱に使うのは大変だったのでしょう。また、堅い材質なので石器で切り倒し削り込むのも大変だったのです。
一方、針葉樹は真っ直ぐに伸びますので柱や梁に適しています。また、広葉樹よりも柔らかいので切ったり削ったりするのが容易です。そのため針葉樹が木材の主流になっていったのです。
■樹種により色々な特色をもっています
針葉樹(サワラ・スギ・ヒノキ・ツガ・マツ・ヒバ等)は広葉樹(ブナ・ナラ・カシ・ケヤキ・シナ・ホウ・キリ等)より柔らかいものが多く、まっすぐで木肌が繊細で柔らかな光沢を持っています。
一方、広葉樹は針葉樹に比べると種類が多く約300種類あり、その内木材としてよく使われるのは30種ほどで、建築材をはじめ様々な用途に使われます。幹はまっすぐでなく材質は硬いものが多いですが、例外としてキリの様に軽いものもあります。
■木は鉄よりも強いのです!
木の強度は鉄やコンクリートに劣ると思われがちですが事実は逆です。
実際に杉と鉄とコンクリートを比較した日本林業技術協会のデータによると
同じ重さの圧縮強度を比較すると、杉は鉄の2倍以上、コンクリートの9倍以上あり、引っ張り強度でも鉄の4倍以上、コンクリートの200倍という数字を示します。
■木材は1000年間も強度を保ちます!
鉄・コンクリートなどの建築材は、新しい時が最も強く時間の経過と共に弱くなります。
ところが木は、木材になってから強度が2~3割増すという意外な特性を持っているのです。
たとえば・・・

推定樹齢1000年の大ヒノキです。 すごいですね!
写真は「森林・林業学習館」よりお借りしました。
ヒノキは神社・仏閣を建てるための木材として古くから用いられてきました。ヒノキは伐採してから200年間は強度が2~3割程度増し、その後1000年かけて徐々に弱くなると言われています。実際にヒノキで建てられた法隆寺や薬師寺の塔は1300年経過していますが今なお健在ですね!

「森林・林業学習館」より引用しました。
■建築に使われる木材はどの様な種類があるでしょうか?
建築材にはそんなに変わった木材はありません。一般的に、家屋の構造体には針葉樹が使用されます。たとえば、柱にする角材にはヒノキ・ツガ、その間を補強する角材や平板にはツガ・マツ・スギ、梁には米マツを使用します。
一方、広葉樹は針葉樹と比べて堅いものが多いので、敷居・框(かまち)・床柱などに使われますが、最近ではフローリングなどの床材としても多く使われています。樹種はナラ・カンバ・イタヤカエデなどです。
■材木の種類は色々あります
木は、それぞれの部位によっても特徴があり、また切り方によっても違いがでてきます。

中村木材工業所「木の声、森の声」より引用しました。
白太(しらた):木が生長するのに必要な栄養分・水分が多い。丸太の外側の為、節が出づらいので建築化粧材に使われる。
赤身(あかみ):白太部分が成熟した部分で、よく目にするのは木曽檜浴槽・まな板があります。
樹芯(じゅしん):木の芯の部分で目が細かいです。
柾目(まさめ):年輪に対して直角に切り出した目です。真っ直ぐに並ぶ縦縞模様の木目が特徴。反りにくく収縮に強い為、建築材・彫刻材・化粧材・集成材に使われます。

板目(いため):年輪に接する接線の方向で切り出した目です。等高線の様な、たけのこの様な模様が特徴。神棚板・カウンター・檜舞台などに使われます。

■樹木の中身は孔だらけ?
木材の木口面を顕微鏡で見ると孔だらけな事が分かります。この孔はストローの様な構造をしており光合成に使う水をくみ上げる働きをしています。その為、木材の体積の半分以上は空隙でできています。つまり半分以上は空気。だから軽いのです。
ところで、日本産で一番重い木材は「イスノキ(比重0.90)」で、一番軽いのは言うまでも無く「キリ(比重0.30)」です。ちなみに、世界で一番重い木材は「リグナムバイタ(比重1.28)」で水に浮かない木材です。また、一番軽い木材は「バルサ(比重0.27)」で9割以上が空隙です。
■樹木は、どのように成長するのでしょうか?
木の真中で、細胞分裂して成長しているのでしょうか? それとも、木の周辺部で細胞分裂して成長しているのでしょうか?
木の周辺部で、細胞分裂し、内側に木そのものを支える木部(モクブ)をつくり、外側には、師部・表皮の部分を作っています。

断面模式図
樹木は根から水分と養分を吸収し、幹を上昇して樹冠部に達し、葉で太陽光線を受けて光合成を行い、細胞分裂に必要な物質を作ります。この物質が木部と師部の間の形成層に送られ、ここで細胞分裂します。そして、内側には、繊維とリグニンで強化された繊維質の構造が出来上がります。これが、木材の強度の秘密です。縦の断面模式図を下記に示します。

したがって、樹木の成長量は十分な水分と養分の供給される土地で、太陽光線が十分にあたるところほど多くなります。一般に成長の良い樹木ほど葉が良く茂っていて、葉量をみればその樹木の成長を推し量ることができるのです。
■年輪はどうしてできるのでしょうか?
樹木の幹を輪切りにしてみると、外側から順に外樹皮・コルク形成層・内樹皮(師部)・維管束形成層(細胞分裂している箇所)、そして木部が見られます。このうち木部が最も多くの部分を占めていて、二次木部とか「材」と呼ばれて木材として利用されています。

丹陽社ホームページ「木の話・樹林の構造」より抜粋しました。
形成層で作られた細胞は、繊維や道管になるので木部全体は次第に太くなりますが、温度・降水量により形成層の細胞形態が異なるので、温帯以北の樹木には年輪ができます。
すなわち、温度の高い春から夏にかけては、細胞が大きくなれるので木部が粗になります。秋から春の時期は、温度が低く光合成のレベルが下がりますので、細胞は大きくなれず密の木部となります。季節によって生じる、この粗密が年輪なのです。
ところで・・・木には年輪があるのは当然と思っていますが、それは温帯や寒帯に生育する木だけです。季節変動の無い熱帯の木には年輪はありません。でも、熱帯でも雨期と乾期がある地域では年輪のある木があるのです。おもしろいですね。