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都市鉱山の活用法

「都市鉱山」という概念をご存じでしょうか?
工業製品の中に含まれる鉱物が鉱山並に利用できるということです。
特にレアメタルと言われる鉱物類は、精密機器などに多く含まれています。
資源の少ない日本にとって、今後絶対に活用が必要となる物です。
以下は、るいネットhttp://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=196628 [1]に投稿された、都市鉱山活用技術についての記事です。
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興味のある方はクリックお願いします。


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都市鉱山の活用法~単純な技術で高含有比率の粉砕物を取り出すことが可能~より
>また資源という点では都市鉱山に注目すべきであろう。これまでに既に膨大なレアメタル、金属を日本は国内に溜め込んでいる。196415
都市鉱山のレアメタルといっても、あんなに複雑で頑丈に作られた日本製精密機器の中から、どうやって微少なレアメタルを取り出すんだろう?と思っていました。具体的な記事を見つけたので紹介します。
wired vision「都市鉱山」に至る道が見えてきた
http://wiredvision.jp/blog/yamaji/200812/200812291801.html [2]より
途中省略有り
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──2008年1月、物質・材料研究機構は「わが国の都市鉱山は世界有数の資源国に匹敵」という発表を行い、注目を浴びました。
金については、世界の現埋蔵量42000トンに対し、日本の都市鉱山は約6800トンで約16%。ほかにも、銀は22%、インジウム16%、錫11%など、世界埋蔵量の1割を超える金属が多数あることがわかりました。ちなみに、世界的に見ても、金や銀は現埋蔵量よりすでに採掘された量の方が多くなっています。
みなさんは驚かれたようですが、考えてみれば当たり前の話です。日本は世界中から資源を集めてモノを作り、経済発展をしてきたのですから。私は、こうして蓄積された資源をきちんと利用していきましょうと当たり前の提案をしただけです。
ただし、資源があることはわかっていても、埋蔵金のようにパッと取り出せるわけではありません。再利用できるのは、そのうちのごくわずかです。
──昔は、お金を出してくず鉄やガラスを引き取る業者がいました。
鉄とガラス、紙は、資源として再利用しやすく、リサイクルで儲けられる仕組みが日本でも整っていました。
リサイクルで儲けるという意味で言えば、現在の中国や米国の方が進んでいる面もあります。大量に捨てられるモノから、お金にできる資源だけを上手にかき集められれば、ビジネスが成立するのです。ただ、それは大量にモノを捨てる経済を容認しているからこそ可能なわけで、日本ではなかなか難しいでしょう。日本の場合は、量に頼れない分、技術力で勝負する方法を考えないといけません。
──現状のリサイクルでは、資源を取り出すためにどれくらいのコストがかかっているのでしょう?
端末の基板を取り出すのに1台当たり50円強、レアメタルが多く含まれるICチップまで取り出すとなると120円程度、これに加えて廃棄物の処理コストがかかります。1台の携帯電話に含まれている金はだいたい90円分、その他の金属を含めて120円ですから、ほとんど利ざやがない状態です。
──一般消費者はリサイクルにどれだけのコストがかかっているか、意識しませんね。
最後に金銀を取り出せば儲かるのだから、その業者までボランティアで端末を届ければいいとか、業者が端末を買い取ればいいと思っている人は少なくないでしょう。しかし、実際には取り出すにも廃棄物を処理するにもコストがかかります。
天然鉱山の場合、掘り出した鉱石をそのまま製錬所に持っていくことはほとんどありません。例えば、日本は外国から大量の銅を輸入していますが、銅鉱石をそのまま輸入しているのではなく、選鉱(不純物などを除く処理)を経てから輸入しています。そうでないと、銅1トンを作るためには銅鉱石が300トン必要ですから、とても船で運ぶことはできません。ちなみに、ステンレスに使われるニッケルの価格は、鉄より高くなっています。ニッケルは選鉱が難しく掘り出した鉱石をそのまま溶かして製錬する必要があるので、どうしても高く付いてしまうのです。
携帯電話などから資源を取り出して利用する場合にも同じことが言えます。製錬しやすいように付加価値を高め、それを製錬所が買い取るという流れを作り出さないと、資源リサイクルはうまく回らないでしょう。
そのため、基板やチップの取り出し部分に技術を投入してコストを下げればよいのではないかと考えました。非常に単純で素直な発想です(笑)。
──どのような手法を開発されたのでしょうか?
工業製品を構成している材料は、モノの外形を保つ構造材料と、光や電気を出す機能性材料の2つに大きく分けられます。ICチップやコンデンサーなどの機能材料は、プラスチックやアルミの枠といった構造材料に守られているというわけです。
みんなが欲しいのは機能材料の中に含まれる貴金属やレアメタルで、これまでは構造材料から機能材料をはがして金属を取り出そうとしていました。しかし、丈夫な構造材料はそのままにして、機能材料を粉にして金属を取り出せばよいのではないか。
そう考えて発表したのが、洗濯機くらいの大きさのボールミルを用いた手法です。携帯電話を1台入れてボールミルを作動させると、基板の板の部分やアルミ、プラスチックの枠はそのまま残り、メッキやチップは細かく砕かれて粉になりました。この粉に金や銀といった貴金属や、錫、パラジウムなどのレアメタルが含まれています。
基板の配線に使われている銅は、大きな破片の方に残ります。一番価値があるのは金ですから、まず金で利益を上げ、その利益を使って基板に含まれる銅を取り出せばよいでしょう。
──ボールミルに入れるだけでこんな風に分離できるのですね。
このサイズのボールミルに携帯電話1台を入れた時の最適条件は見つけました。サイズの異なる複数のボールを組み合わせて使います。あるボールは表面にある出っ張りを砕くため、角張ったボールは表面に張り付いているものをそぎ落とすために使うという具合です。
現在は550Wのボールミルに携帯電話1台を入れて、2時間回しています。この手法を使うことで、携帯電話1台から金属資源を取り出すためのコストは9.7円になりました。
──携帯電話より大きな、例えばDVDプレイヤーのようなものでも大丈夫ですか?
ボールミルに入らないゴミは、普通の破砕機でつぶしてから入れればよいだけです。
──取り出した粉には、どのくらいの割合で金が含まれているのでしょう?
だいたい金が0.9‰(パーミル)、つまり粉1kg当たり1g弱の金が含まれていることになります。これは、天然の金鉱石に比べて数百倍の含有量です。
──都市鉱山によるリサイクルチェーンが実現するために、重要なことは何でしょう?
やはりメーカー、業界が責任を持ってリサイクルチェーンを作ることでしょう。
家電リサイクルが動き出した時、海外からはさんざんバカにされたものです。消費者からお金を取って廃棄物処理をするなんて、不法投棄の山になるに違いないと。しかし、実際には、大多数の日本人はちゃんとルールを守っています。メーカーがきちんとシステムを作りさえすれば、市民もそれに応えるのが日本人だと思います。
──海外での都市鉱山利用の状況はどうでしょう?
アメリカやドイツなどで、都市鉱山にどれくらいの資源が含まれているか、ようやく研究が始まったところです。この分野において、日本はトップランナーであることを自覚して行動しないといけません。
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研究者プロフィール
原田幸明(はらだこうめい)
1951年長崎県壱岐生れ、山本良一氏らとともにエコマテリアルを提唱。材料のリサイクル設計、LCAの日本への導入などを進めた。現(独)物質・材料研究機構元素戦略クラスター長、エコマテリアルフォーラム幹事長、日本LCA学会副会長、エコデザイン推進機構理事などを務める。
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都市鉱山で象徴的なのが、携帯端末ですが、中のデータを保存し、通信事業者でリサイクルチェーンを作ることは難しく無いですね。
日本がこの分野のトップランナーで、おそらく出来上がったシステムのルールを守って運用できそうであることも心強いです。

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