以前の抗生物質って何? [1]で、にんにくは天然の抗生物質ということをご紹介しました。
そこで薬等の人工的な抗生物質とは何がどう異なるの?という質問もありましたので、調べてみました。
にんにくが天然の抗生物質と呼ばれているのは、抗菌・抗カビ作用を持つアリシンという化合物を持っているからです。
アリシンって何? アリシンの薬効は?
まずは応援をポチッとお願いします
ポチッとありがとうございます
にんにくに含まれている成分の種類数は並外れていて、17種類のアミノ酸、33種類以上の硫黄化合物、8種類のミネラル(ゲルマニウム、カルシウム、硫酸銅、鉄、カリウム、マグネシウム、セレン、亜鉛)、そしてビタミンA、B1、Cがあります。
その硫黄含有化合物の中のアリインと、アリイナ-ゼという酵素によってアリシンが生まれるのです。
そもそもアリインとアリイナ-ゼは、にんにくの中で完璧に別れて存在していますが、通常切られたり、潰されたりして、一度構造が切り裂かれるとこの2つの物質は反応し、アリシンが生まれるのです。
この変化は素早く行われ、ほんの数秒しかかかりません。さらに興味深いのは、アリシンの不安定性です。分解される前のごくわずかな間しか有効ではないのです。それは一体なぜ?
実は、にんにくが進化を遂げてきたのは、土壌生物からの攻撃に対する防御作用であります。カビ類やその他の土壌内病原菌が、成長中のにんにく片に侵入すると、アリインとアリイナ-ゼが化学変化し、それら侵入者を無害にするアリシンの集中射撃を起こします。
素早く反応するアリシン分子が短命なのには理由があります。もし短命でなければ、アリシンはアリイナ-ゼ酵素を含む周囲のタンパク質成分と化学反応し続けてしまうのです。そうなるとにんにくの防御能力を全て使い果たしてしまう事になります。
したがって攻撃を跳ね除けるのに十分なだけの防御力を高度に局部集中し、素早く消えるのです。残った、アリインとアリイナ-ゼは、その後に来る攻撃に備え保持されます。
アリシンの効果が短命ということは、にんにくを食べてもこの抗生機能はほぼ消化器官内にしか働かないことになります。
例えば、ペニシリンが出来る以前は傷口からの化膿を防ぐために、にんにくの絞り汁を傷口に直接塗っていたそうです。内臓以外の患部には直接塗るのが効果アリです。
その点で全身にまわって効く薬とは効果範囲が大きく異なります。
そう考えると、菌にやられてから、にんにくを食べるのは効果が薄く、日頃からの予防という点で食べるのが良いのです。
薬は、注射のように消化器官を経ずに体内に直接注入する場合や、飲み薬のように消化器官による消化作用から身を守って吸収させる場合があります。
*そういえば昔タレントのジミー大西さんが、点滴を面倒がって飲んでしまい、医者からかなり怒られたという話を聞いたことがあります。同じ体に入れるにせよ、吸収経路が違うのだから怒られるのも当たり前ですね。
今回明らかになったのは、天然の抗生物質と人工の抗生物質との違いではなく、食物と薬(とりわけ西洋医学の薬)との違いになってしまいました
しかし口から食物を入れ消化器官を経て、不要なものは体外に出すというメカニズムを持つ生物なのに、ショートカットしたり、その機能を無効にして異物を入れることは、それ自体特殊なことなので、何らかの身体に無理をさせていることになると考えられます。
実際、病院で薬をもらうと胃腸が悪いわけでもないのに胃腸薬をもらったりします。病気を治療しながら別の病気の心配もしなければならないのは変ですよね。病気というのはその局部の異常ということではなく、たまたま弱い部分にいち早く症状が現れただけで、そのメカニズムにズレが発生していると考えた方がよさそうです。