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『水資源』の危機!!どうする?-③:2.水資源の危機とは 1)世界の水消費量の急増

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自然の摂理を超えた水の過剰消費
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世界の水の年間使用量は、1900年から徐々に増加しているが、1950年から1995年までの間に2.6倍に急増している。           
一方、同じ期間の世界人口を見ると、同様に2.2倍に急増している。
このことから、水使用量の増大は、人口増大が大きな要因になっていることが分かる。
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同期間における1人当たりの水使用量の変化を見てみると、農業用水はほぼ横ばいであるが、工業用水は約1.8倍に、生活用水は約3.0倍に増加している。このことから、工業・生活用水の1人当りの水使用量の増大も、水使用量の増大の一因となっていることが分かるが、全使用量に占める割合は小さいため、1995年時点で70%を占めている農業用水の増大が与える影響が最も大きいといえる。
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2000年に世界水会議(WWC)により発表された「世界水ビジョン」は2025年の世界水需要を49,130億m3と予測し、同年における世界の一人当たり水資源は1995年の6,600m3から4,800m3に減少し、30億人以上が水ストレス(水と量の質の限界)に直面すると予測している。
特に1995年から2025年の間における地域別水需要の伸びはアフリカ1.6倍、南米1.5倍、アジア1.4倍と予測され、人口増加の激しい途上国地域ほど高い伸びとなっている。
ここからは、水消費量の急増の原因について詳しく見ていきます
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□水消費量の急増の原因①~農業生産の拡大による水消費量の増加~
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世界の人口は2000年から毎年約6000万人ずつ増加するものと予測されている。
上図によれば、1960年から2000年までの間に世界の農地面積はほとんど増加していない(1.1倍)のに対し、灌漑面積は2倍に増加している。
人口の増大に対し、農地面積拡大には限界があるので、穀物の単位面積当たり収量(単収)を高める灌漑設備、及び近代農業の導入が拡大していく。
穀物の単収と水消費量は比例関係にあり、降水量の少ない地域では地下水に頼ることになる。
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上図によれば、降水量の少ない米国、サウジアラビア、イスラエルなどで、地下水の涵養量(貯まる量)に対して揚水量が大きく上回り、自然の摂理を超えた水消費となってしまっている。
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水消費量の急増の原因②~豊かな生活の実現による水消費量の増加~
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このグラフは、1998年における、1人当たりの国内総生産GDP($/年/人)と工業用水・生活用水使用量(m3/年/人)の関係を示したものである。これより、経済成長が進んでいる国、つまり、1人当りの国内総生産(GDP)の大きい国ほど、工業用水・生活用水使用量は大きくなっていることが分かる
また、経済成長は食生活の多様化を促進し、穀物消費中心の食生活から、野菜、果実、畜産等多用な食生活への変化を促す場合が多い。特に畜産需要の増加は、飼料穀物の生産拡大を通じ、その数倍の水需要をも拡大させることになる(食糧1kgの生産に必要な水の量は、小麦やトウモロコシが1000L程度なのに対し、牛肉は15,000Lである)。
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世界人口は2007年の67億人から、2025年には81億人へと増加が見込まれ、都市人口は同33億人から46億人へと増加すると予測されている。この結果、世界の総人口に占める都市人口の割合(都市化率)は49%から57%に増加する見込みである。都市化率と1日1人当たり水使用量の関係を見ると、都市化が進むほど水使用量が増加しているほか、都市規模の拡大によっても1日1人当たり水使用量が増大する傾向にある。
以上から、水の過剰消費の構造を図解化すると以下のようになる。
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(参考文献)
■『農林水産省「世界の水資源と我が国の農業用水」農業農村整備部会平成14年度企画小委員会報告書』 [9]
■『気候変動と世界の水資源』東京大学生産技術研究所 沖大幹 [10]
■『水問題と現状と予測、今後の論点』内閣府 総合科学技術会議 地球規模水循環変動研究イニシャティブ [11]
■『経済産業省 通商白書2008「水問題と我が国の取組」』 [12]
■『水戦争-水資源争奪の最終戦争が始まった』柴田明夫 著(角川SSC新書,2007年)
■『「水」戦争の世紀』モード・バーロウ、トニー・クラーク 著(集英社新書0218A)

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