温暖化問題の科学的な分析結果を発信するIPCC(気候変動に関する政府間パネル)。そして、この組織は状況分析を発表するのが役割だが、権威ある団体はここだけとう状況の中で、温暖化対策の方向性は、結果的に、この組織の発表が作り出す危機意識にゆだねられてしまっている。
IPCCとは一体どのような組織なのだろうか
『IPCCの実態は?』 [1]を参考に考えてみたい。
そこに入るまえに、まず、二酸化炭素による地球温暖化仮説の科学的な信頼度から。
二酸化炭素による地球温暖化仮説のようは、現在の科学をもってしても、こうだと断定できるような単純なものではない。シミュレーションの精度のもあるが、それ以前に、その仮説の前提となる、現在と過去の気温そのものや、千年単位の海中炭素循環の調査等は、今緒についたばかりというものも数多くある。
(参考;現状の気温データでは、温暖化を証明するには極めて不十分! [2])
そのように不完全な現状認識から導かれた温暖化理論は、科学的根拠の不十分さを孕む。そうすると、そこをついて『自然科学的』反論が数多く提起される。この反論自体は、かなり的をついたものが多いが、それに対する再反論も数多く出てくる。
仮説の不完全さの理由が、自然科学的状況認識の不足にあることが多いので、これも決着がつかないまま時間が過ぎていく。というより、この問題の仮説の決着は、現時点の自然科学的状況認識では不可能に近い状況なのだ。
なぜならば、パラメータの不足に加えて、地球は一つであり、二酸化炭素を排出し続けた場合と、そうで無い場合の対照実験を行うことは不可能だからである。このように、もともと確たる答えが出ない自然科学的問題を中心にすえ、議論を繰り返すことで、地球環境問題は『自然科学的問題』に固定されていく。これはある種の洗脳である。
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そうしている間に、IPCCから、途方も無く複雑な現象が、きわめて単純な『二酸化炭素が原因』というメッセージとしてマスコミを通じて流される。これを、信憑性の高い情報として私たちは受け取る。なぜならば、地球温暖化は『自然科学的問題』と洗脳され、IPCCは科学的根拠をもとに情報を流していると思っているからだ。
ところが、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)というのは科学者だけの研究集団ではない。純粋な気象関係研究集団としては、国際測地学や地球物理学連合や、各国政府の気象機関の連合体である世界気象機関(WMO)があるが、これらの組織が世界的に一体化して活動を始めたのは、1967年くらいからである。
もともと、局地的な気候測定などを中心に研究していた人々が、やっと地球規模での検討に着手し始めた時期でもある。この時点での、測定データは、もともとこれらの組織が温暖化解明のために存在していたのではないため、極めて少なかった。たとえば、広大な南太平洋上層の風の観測はほとんど無く、今から測定という状況に近かった。
また、この時点で、温暖化に関係する専門分野は、気象関係以外に、何が必要なのかもおぼろげにしか解かっていなかった。そして、今では必要だとわかっている、森林やツンドラの生態系研究や、植物の二酸化炭素吸収、砂漠化の影響、バイオマスの影響・・・など、多くの個別調査が必要ということが解かってきたのもこの頃である。
当然、これらの広範な研究成果をもとに、温暖化の予測はなされる訳だが、測定や研究が本格的に始まったのが1970頃であるのにも関わらず、なぜ、測定データすら無い200年や100年前と比べて、はっきりと『このような変化をしていると』断定できるのか不思議だ。
そして、複雑な現象ゆえ当然のことながら、それ以降の研究成果は、なかなか統合にはいたらず、論争を招いていた。そこで、1988年、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が登場する。これは、各国の国益(≒自国の経済的優位性)を代表し、政府代表主導で気候変動状況の報告内容を決定していく政治的機関なのだ。
ここでは、最終的な結論は政府の代表者によって承認されなければならず、その多くは科学者ではない。科学者は、その意思決定のアドバイザーにすぎないのだ。
そのような政治的機関から、繰り返し繰り返し、二酸化炭素だけが原因という単純化されたメッセージが流される。それに対して『YES』というのが、将来を憂う真っ当な人々なのだ、という本源風のメッセージが重なり、いつのまにか不確かな現象は、確実な事実にされていく。
これは日本で起きた、小泉の郵政民営化選挙と同じだ。
(参考;『郵政民営化とは一体誰の利益のためだったのか?』 [3])
このような、単純化された『解かりやすいスローガン』に惑わされないためにも、この洗脳構造について分析していく必要がある。
切り口としては、地球温暖化問題は自然科学の問題なのだろうか?ということだろう。
『環境問題の本質とはなんなのか?2』 [4]へ続く…