●常温で水が気化するのはなんで?
水の物性を探る2 [1]に続けたいと思います。
>僕らの住む「地球」では、水は常温では液体であり、100℃をこえると水蒸気(気体)となり、、、、、<
フンフンと何げに読よみすごしてしまいますが、「水は常温で液体」これって本当?洗濯物は常温でも(100℃に達していなくても)乾きます。降った雨も、お皿の水も100℃でなくても気化しますよね。つまり実際は常温でも、水は液体から気体に気化しているという事実がありますね。なんで?。改めて考えると不思議ですね。学校では100℃で気体になると聞きました。おかしい。
・100℃で始まるのは『沸騰』で、それは水の『内部』からも気化が始まること。
・常温であっても水の『表面』からは蒸発(気化)する。
と、答えたあなたは凄い。その通りです。(初めて聞く人も、安心して下さい。)
でも、同じ水なのに(常温で)表面は気化、内部は液体のまま、これはよく考えると不思議ですね。水など一部の物質しかこんな振舞いはしません。なぜこんなことがおこるのでしょう。
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●水の表面と内部の構造の違い
実は、水は(コップの水を想像してみると)水表面と内部では別の物質のような状態にあり、違った振舞いをします。
①もともと、H2O分子は非常に小さい。
②しかし、(コップの水で想像して)水内部は、水分子同士が「水素結合」してクラスター構造をもち、大きな分子構造になる。沸点は高く常温で液体です。(水素結合については詳しくはリンク [2])

③一方、水の表面は、クラスター構造が相対的に形成しにくく、もともとの小さな単独の水分子になりやすい。単独の水分子は沸点が低く、常温で気体になります。(=洗濯物が乾く、コップの水の表面から蒸発する)。
これが、常温で気体とも液体ともなるH2Oの秘密です。簡単に纏めると、
水表面 単独の水分子 分子が小さい 沸点低く 常温で気体
水の内部 水素結合→クラスタ構造 で、塊が大きい 沸点高く 常温で液体
●分子量(分子の大きさ)と沸点の関係の補足
上記で小さな分子は沸点が低い、大きな分子は沸点が高いと書きましたが、以下に分子の大きさと沸点の関係を補足します。
| 分子式 | 分子量 | 沸点(℃) | 常温状態 | |
| メタン | CH4 | 16 | -162 | 気体 |
| エタン | C2H6 | 30 | -89 | 〃 |
| C3H8 | 44 | -42 | 〃 | |
| ブタン | C4H10 | 58 | -1 | 〃 |
| ペタン | C5H12 | 72 | 36 | 液体 |
| ヘキサン | C6H14 | 86 | 69 | 〃 |
| オクタン | C8H18 | 114 | 126 | 〃 |
上から下に向かって分子式の記号が増えますが、下のほうの物質のほうが、複雑で大きな(分子量が大きい)物質であることを意味します。そして、この表から、大きな物質ほど沸点が高いことが分かります。
さらに、分子量(大きさ)が近ければ、違う物質でも大体沸点は同じになるのですが、
分子式 分子量 沸点(℃) 常温で
水 H2O 18 100 液体
のように、水は上記の一覧表と比べると、大きさのわりに異常に沸点が高いことが分かります。(水はメタンと分子量が近いが沸点は非常に高い。)
●水素結合がもたらす水の特性
そして、それは水素結合がもたらす水の特質です。水の『内部』は水素結合→クラスター構造を形成しており、大きな分子として振舞うため沸点が非常に高く、常温で液体になっています。
普通に学校で習う水(H2O)はお皿に広がった水。コップの水は、(H2O)×5とか表現しないといけませんね。
るいネットでも紹介されていますが、水素結合は私たち生物にとって極めて重要な結合です(『水素結合が生命体を維持するメカニズムとは?』 [3])。それを身近な現象で体験していたとは少し驚きです。
○「水の特徴、物性を探る」シリーズ、次回は『打ち水(と気化熱)』について扱う予定です。
お楽しみに。 😛