
これは、日本ミネラルウォーター協会・ミネラルウォーター類各種統計「ミネラルウォーターの1人当り消費量の推移」 [1]をグラフ化したもので、いずれの先進諸国においてもミネラルウォーターの消費量は拡大しています。ちなみに世界のミネラルウォーター市場は、ピクテ投信投資顧問㈱のデータによれば、1997~2006年で年率9%拡大中とのこと。
一方、日本でも販売量は、

(サントリー・ニュースリリース2004.8.18から引用させていただきました)
の通り拡大中で、金額ベースでいくと、国内生産と輸入を合わせて、1986年に83億円だった生産額が、2007年には1900億円と21年間で約23倍と年率16%で拡大しています。(日本ミネラルウォーター協会・ミネラルウォーター類各種統計「ミネラルウォーター類 国産、輸入の推移」 [2]からの引用)
ところで、ミネラルウォーターと水道水がどれくらい値段が違うかご存知でしょうか?
例えば大阪市の水道水は、上下水道を合わせて400円/m3です。
一方、ミネラルウォーターは、100円/500㎝3として200000円/m3となり、
何と!水道水に比べ500倍ものお金を払って、ペットボトルの水を飲んでいることになるのです!
さらに、『ミネラルウォーターも人の手で作られている!!』(樫村志穂美さん) [3]に投稿されているように、ミネラルウォーターの中心はくみ上げた湧水を滅菌処理した『ナチュラルミネラルウォーター』ですが、ろ過、沈殿、加熱殺菌以外に加工している『ミネラルウォーター』 (「日田天領水」や「クリスタルガイザー」等)、更に、ろ過、沈殿、加熱殺菌以外に原水の本来成分を大きく変化させる電解処理等を行った『ボトルドウォーター』 (「キリン アルカリイオンの水」等)があり、天然物とは程遠い水が「ナチュラル」や「健康」を売物にして売られているのです!
そこで、systemaさんが『ミネラルウォーターが売れるには水道普及が必須??』 [4]で述べられている「水道水が水の市場化の発端になった」という視点もお借りしながら、何でこんなに高価で、「ナチュラルではない」ミネラルウォーターが売れるのかを考えてみたいと思います。
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水道の歴史は、世界では古代ローマでの都市化(もちろんその背景には市場拡大があります)に伴う「ローマ水道」に始まりました。
日本で最古の水道といわれるのが、小田原城下に飲用として供した「小田原早川上水」。
江戸時代には、都市化に伴い神田上水をはじめ、玉川上水、千川上水などが引かれましたが、これらの大動脈は屋外に露出でした。
そして、パイプラインによる近代的な水道は、西欧、日本ともに19世紀に入ってから整備され始めました。
人が生活するためには水が欠かせません。それもまず飲食用としての水です。
だから、水のない都市に多くの人が住むようになると、水道は必要不可欠のものとして整備される必然性があった訳です。
そして、水道が整備されたお陰で、コレラなどの淀む水に生息する病原菌を口にすることがなくなり、感染症が激減しました。
しかし、そもそも「水」は淀むことなく流れ、大気中でばっ気され、地中で長時間掛けて濾過されることで浄化され、飲用可能なものとなります。
人工的につくった水道も自然の原理に倣って浄水技術、貯水技術、配管技術を進化させてきましたが、結局は自然の摂理には及ばず、不完全な浄化、滅菌のための塩素残、貯水時の品質劣化、配管材の浸出は避けられず、常に飲用としては不完全な「水」しか再現できなかったということではないでしょうか。
・・・・・・実際、私たち中年世代が小さい頃には、夏場など生暖かい水道水は当たり前で、大人たちからは「生水を飲むな」と言われたものでした。また、成人となった1980年代でも、蛇口からでてくる「藻の臭いのする」水道水に閉口した記憶が蘇ってきます・・・・・・・
これが、ミネラルウォーター需要の前提条件にあったと考えられます。
それに、市場拡大により経済的な豊かさを実現し、購買余力ができ、より品質のよい水を求めて、日本では1980年代後半からミネラルウォーターが売れていった訳です。
日本では、1960年頃まで使われてきた亜鉛めっき鋼管が1970年後半頃からライニング鋼管に代わり、配管からの赤錆問題が大幅に低減されました。また、10年程前から、高度浄水処理を施した水道水が全国に普及し始め、水道水の水質が大きく改善されています。
が、それとは関係なく「ナチュラルではない」ミネラルウォーターの売れ行きは伸びつづけているのです。
それは、(『「水道水=危険」「ミネラルウォーター=安全」はマスコミによる洗脳 [5] 』(西谷文宏さん)参照)にあるように、マスコミが「安全」「健康」に対する不安を煽る一方、ミネラルウォーターは「身体が欲している」「身体に良い」といった幻想価値の洗脳が奏功したために違いありません。
そして、原料費が只同然の「水」は、石油並の市場商品になってしまったのです。
それでも、ミネラルウォーター程度なら、水利用のほんの一部に過ぎず、認識の転換さえすれば水道水に代替可能なように思えます。
しかし、世界では、市場拡大⇒工業化・都市化→淡水汚染・使用量増大・保水量減少、による水資源の枯渇を背景に、国際的なレベルで「水」の市場商品化が進んでおり、日本ではミネラルウォーター市場のみならず、大元のライフラインである水道事業も侵食されつつあるようです。
(『外資に狙われている日本の水道事業~世界最大手水道会社フランスヴェオリア社が日本に参入 [6]』( 猛獣王Sさん )参照)
水の豊かな日本では気づき難い問題ですが、「水」が巡る世界の動きをさらに調べていきたいと思います。