ついに京都議定書での温室効果ガス排出量削減の約束期間である2008年がスタートしました。
先進国全体で二酸化炭素(CO2)をはじめとする 温室効果ガス排出量 を、12年までの年平均値で1990年比 5% 削減 、年度単位で算定する日本には、08年4月からの5年間で 90年度比 6% 減 が義務付けられているようです。
しかし、この削減量は 到底達成できない といわれています。
CO2排出量が少ないと言われている原子力発電を良しとする風潮 が生まれるかもしれません。
しかし安直に原子力発電に依存しようという発想は 危険 です。
いったい原子力発電のなにが危険なのでしょうか?
ということで、「原子力発電の危険性」について調べていきたいと思います。
(東京電力福島第一原子力発電所 東京電力株式会提供)
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原子力発電は素晴らしい技術ですが、よく耳にするのが、 放射能漏れ や 放射性廃棄物 の問題。
これは、 ウランが核分裂する際に発生する放射線 の問題です。
それでは、まず「放射線」について勉強していきましょう。
★「放射線」「放射性物質」「放射能」
いまいち違いがわかりませんが、3つをまとめて説明します。
①放射線
「電磁波や運動している粒子で、物質の密度の大小によっても異なるが、同物質を通過する能力をもったもの」と定義されています。もう少し簡単な例を挙げると、胸部のレントゲン検査です。検査中、体には何とも感じませんが、後で体の中の状態を写真で見ることができます。これは検査を行っている時にエックス(X)線が体の中を透過しているからです。エックス線のように、目には見えないけれども、写真乾板を感光させたり、物を突き抜けたりする性質のあるエネルギーをもっている物、これが「放射線」といわれるものです。つまり、放射線とは、目に見えない「光線」みたいなものです。
②放射線物質
「放射線を出す性質を持っている物質」のことで、放射性物質には放射性の原子が含まれており、その原子核から放射線が出ています。
③放射能
放射線を出す能力のことです。
まとめると、放射線は「飛び出てきたもの」、放射性物質は「それを出すもの」、放射能は「それを出す能力」という理解が簡単なようです。
間違いやすいのは「放射能」という言葉で、「放射線を出す元素及び物質」という意味でも使われることがあるので注意が必要です。 (文例:事故で「放射能」が漏れる → この場合は放射線を出す物質が漏れるということになります。)
★放射線の種類
放射線とよばれるものの中には
①目に感じる光エネルギー
②暖かく感じる赤外線エネルギー
③ラジオやテレビなどに使われる電磁波エネルギー
などがあり、さらに電磁波は下記に分類されます。
④紫外線 / ⑤X線
⑥アルファ線 / ⑦ベータ線 / ⑧ガンマ線
⑨中性子線
これらの放射エネルギーはエネルギーの非常に小さな塊り(「光子」と呼ばれる)と考えられています。透過する能力にも違いがあります。
★放射性物質と半減期
身の回りにあるふつうの物質からは放射線は放出されません。
自然界では、鉛より重い元素はすべて放射能を持っていて、放射線を出し続けます。また、放射性の同位体は、安定した状態になる(=放射能が消える)まで、素粒子を捨てたり奪ったりして、放射線を出し続けながら、ほかの物質に変化します。
この自然のプロセスを「崩壊=ほうかい」と呼びます。
つまり、放射性物質というのは、原子が崩壊しながら放射線を出す物質である、と言えます。
放射能の寿命は、「半減期=はんげんき」という言葉で表現され、その物質が崩壊によって半分に減るまでの時間を表しています。その期間は、数秒 のものから、何億年 に到るのものもあります。あくまでも「半減する時期」ですから、その物質が放射線を出さなくなるまでには、その何百倍もの期間がかかります。
★放射線の人体への影響
放射線は生物に吸収されると直接その細胞のDNAを傷をつけたり、細胞の中の他の原子や分子(特に水)と作用して間接的にDNAに傷害を与えたりします。傷害が大きくて修復できなければ細胞は 死に至り 、また修復に間違いが起きれば、 奇形、癌、その他の病気の原因 になります。
人体や物体が放射線を浴びることを「被曝=ひばく」と呼び、肌で放射線を直に受ける「外部被ばく」と、放射性物質が空気や水、食べ物を経由して体内に入る「内部被ばく」の2種類に分類されます。
①外部被ばく
身近な例では、X線や宇宙線による軽い外部被ばくがありますが、強い放射線を大量に浴びると、造血器官、皮膚、神経、生殖器、内臓などがすべて打撃を受け、その結果、嘔吐、脱毛、倦怠感などの急性障害や、潰瘍、がんなどの晩発性障害が起きます。広島、長崎の原爆被災者や、事故後のチェルノブイリ周辺住民の甲状腺がん発生確率の増加は、外部被ばくによるものです。
②内部被ばく
内部被ばくは、肺から血液に入る場合や、胃腸の粘膜から血液に入る場合など様々な経路があります。放射性物質は放射線を出し続けるので、たとえ少量でも体内に入ると細胞が直接放射線に曝されるので、人体に深刻なダメージを与えます。がん、白血病、糖尿病、心臓病、慢性疲労などを発症するといわれています。
★放射線がDNAを傷つけるメカニズム
エックス線やガンマ線もエネルギーの小さな塊、光子と考えられています。この光子の持つエネルギーの大きさによって、それが生体に入ったときに生物に与える影響は異なります。放射線の一部のエネルギーは原子や化合物から電子をはぎ取ります(これを電離といいます)。電離によって電子を失い非常に不安定になった化合物は、新しい化合物に変化したり、他の化合物と反応したりします。
なんとも恐ろしい数値です。
・人体の細胞の電離エネルギー:1~10eV
・アルファ線の電離エネルギー :1,000,000~8,000,000eV
・ガンマ線の電離エネルギー :100,000~4,000,000eV
とてつもないエネルギー量です。
こんなの浴びれば、一瞬にして細胞が破壊されるのがわかります。
放射線がいかに危険かということがわかってきました。
★ウラン分裂時に生成される放射線
原子力発電で行なわれているウランの核分裂では、これまで地球に存在しなかった同位体(核分裂生成物)が沢山つくり出されます。ウラン235の核分裂の結果生じる核分裂生成物は、200種以上にもわたります。これら放射性核種は寿命(半減期)の短いものや長いものまでいろいろあり、大部分はアルファ線やベータ線、ガンマ線を放出します。代表的な生成物とその半減期を見てみましょう。
ウラン235 (7億年、アルファ線)
↓
ウラン238 (45億年、アルファ線)
プルトニウム239 (2万4千年、アルファ線)
セシウム137 (30年、ベータ線)
ストロンチウム90 (28年、ベータ線)
イットリウム90 (64時間、ベータ線)
ヨウ素131 (8日、ベータ線)
キセノン133 (5日、ベータ線)
クリプトン85 (10年、ベータ線)
アルゴン39 (270年)
単純に、半減期が7億年の放射性物質から、半減期が45億年の放射性物質が生成されてます。
つまり、原子力発電は、人為的な作業により、すごく危険な放射線を出す物質を作す上、その危険な放射線が半減するまでの期間を、 38億年という無責任極まりないオーダーで延長させている のです。
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今回のお勉強はここまでです。
地球が誕生して45.5億年。
「こんな無責任なことをしていいの?」と思うのは私だけでしょうか?
いったい原子力発電所では、これらの危険な放射性物質を、どのように扱い、どのように処分し、どのように管理していっているのでしょうか?
まさか、「外部に漏れないよう徹底的に遮蔽する」とか、「何億年先まで放射能が減衰していくのを待つ」というような 幼稚な計画 ではないでしょう?
もしそうなら、この原子力発電技術は、 見切り発車的な技術 としか言いようがありません。
そうでないことを祈ります・・・。
なんだか不安になってきました。
次回は、発生するこの危険な放射線がどのように扱われているのか?について調べていくことにします。
(今回の記事は、「僕と核」(リンク [1])、「よくわかる原子力」(リンク [2])の記事を一部引用させて頂きました。)