みなさん、こんにちわ~:D
今回は、『環境ホルモン』にスポットを当ててお話しようと思います。
この「環境ホルモン」は、約10年前にHOTだった話題です。
みなさん、聞き覚えがある言葉だと思いますが、「そんなのもあったな~」「そういやどこ行ったの?」という感覚ではないでしょうか?
この「環境ホルモン」という言葉が、流行語大賞に輝いたのが、1998年。
その受賞の理由にはこう書いてあります。
「21世紀の世界で、もっとも重要なテーマは“環境問題”である。この年、地球の生態系を狂わす恐るべき化学物質「内分泌撹乱化学物質」を、井口(大賞受賞者:当時 横浜市立大学理学部教授 井口泰泉氏)は「環境ホルモン」と名付けた。これにより環境問題は一挙に身近なものとなり、水道水、土壌などの問題を論ずる時にも「環境ホルモン」の語が出ないことはなくなった。」
※新語・流行語大賞 全受賞記録 第15回(1998年) [1] より
って言ってるけど…んん
確かに当時はよく耳にしたけど…:roll:
……最近はめっきり聞きませんよねぇ…
一体、この温度差は何なんでしょう
では続き…の前に、応援よろしくお願いします
さてさて、今回はみなさんの記憶を掘り起こすためにも、
・そもそも、「環境ホルモン」って何?
・いつ騒がれてたっけ?
・どんな内容だったっけ?
という、基本から押さえていこうと思います
環境ホルモンって何?
一番長い正式名称は、「外因性内分泌攪乱化学物質」。
体内で生成される天然のホルモンは、それ専用のレセプター(受容体)にくっついて作用する。
環境ホルモンは、天然のホルモンと「つくり」が似ているため、このレセプターくっついてしまい、生物の体内に取り込まれると、まるでホルモンのように働いて生殖機能などをかく乱するおそれのある物質のことをいう。
コレが本当なら、確かにキケンだと思いますよね…:-(
では次に、実際どのような経緯で「環境ホルモン」というものが世間で話題になったのか?ということを知るために、年表を作りました。
環境ホルモン年表
| アメリカで『Our Stolen Future』(シーア・コルボーン著)出版。 |
環境庁など5省庁が内分泌攪乱物質についての情報交換会を設置。 | |
NHK教育テレビの科学番組『サイエンスアイ』~なぞの汚染源・環境ホルモン~放送 この番組を作る際、ディレクターの村松秀氏と(当時 横浜市立大学理学部教授)井口泰泉氏が「外因性内分泌攪乱化学物質」を「環境ホルモン」と名付ける。 | |
日本の新聞に初めて「環境ホルモン」という言葉が登場 | |
「プラスチックからビスフェノールAが溶け出す」という記事 →プラスチック系環境ホルモンの話題の発端 | |
『奪われし未来』邦訳 刊行 | |
毎日新聞生活家庭欄「しのびよる人体汚染」(計16回連載)。 →著者の小島正美はこの「環境ホルモン」報道をリードする最大の書き手の一人 →この連載の内容も、『生殖異変』に焦点が当てられていた | |
NHKスペシャル「生殖異変~しのびよる環境ホルモン汚染~」> →『生殖異変』という言葉が大きな反響を呼ぶ | |
●「プラスチックから環境ホルモン/環境庁モデル事業中止」の記事 →≪プラスチック製品→ビスフェノールA検出→危ない≫という図式を植えつける ●朝日新聞「人は子孫を残せるか」の記事 →「環境ホルモン」問題を正面から取り上げた最初の社説 | |
「SPEED’98」開始 →67物質を環境ホルモン物質としてリストアップ | |
●「環境ホルモン」報道件数がピーク 主要な話題はカップ麺騒動 →カップに熱湯をそそぐと、容器から環境ホルモン作用が疑われるスチレンダイマー・スチレントリマーが溶け出す、という騒動 | |
「環境ホルモン」が流行語大賞受賞 | |
読売新聞記事「多摩川のコイ、メス化は女性ホルモン/下水のし尿に含有」 →メス化の原因は、合成物質ではなく、し尿に含まれる女性ホルモンであることがわかる | |
「SPEED’98」の67物質のうち約40物質の有害性を評価、そのうちさらに7物質を優先的に対象とする。 →この段階で、カップ麺疑惑で注目されていたスチレンダイマー・スチレントリマーはリストからはずされる。 |
参照:奥武則 「悪いニュース」は「いいニュース」ー「環境ホルモン」報道の検証ー [2]
『環境ホルモン 人心を「攪乱」した物質』 西川洋三
また、いつごろ盛り上がっていたか?ということの事実として、「環境ホルモン」の新聞報道記事件数の推移と、この頃に開かれた(環境ホルモンに関する)国際シンポジウムを表したグラフが以下のものです。


中西準子のホームページより [4]
このグラフ・年表を見てもわかるように、「環境ホルモン」が一番盛り上がっていた時期は、1998年中頃で、ピーク値は1998年6月(811件)です。これは、一紙が平均して月々およそ20本も「環境ホルモン」記事を書いた、という計算になります。
この当時、そこまで話題だったものが、今はなぜ聞かなくなったのか?
また、なぜその当時は、短期間にここまで話題になったのか?
環境ホルモンに限らず、環境問題というものは、何か一つが問題だと取り上げられて話題になり、ブームが去ったら忘れられ、また違うものが問題だと取り上げられて…ということを繰り返して、結局何も解決してないやん

次回は、その仕組みに迫るためにも、「環境ホルモン」は一体どういう問題だったのか?
ということに迫りたいと思います

こうご期待

