ベストセラー「食品の裏側」で、日本人の味覚が失われてゆく危険が述べられています。
安部氏は講演で・・一品で二百種近くの添加物を使っている弁当やサラダなど、加工食品の現状を紹介。味覚の鈍化については「五百ミリリットルに糖分を五十グラム入れたジュースは甘すぎて飲めないが、さっぱり感を出す酸味料や炭酸、香料、色素を加えると平気になる」と説明した。
またうまみ調味料を多用するカップ麺(めん)やスナック菓子は塩分も多くなり、ほかの食物も塩気が濃くないと満足しなくなると述べた。
(神戸新聞)

確かに、我々世代から見れば、こんな不味い食い物を何で美味しそうに食べるんだ?と思わせる場面があります。
でも、私の世代も、魚肉ソーセージや、グルタミン酸ナトリウムには違和感が無いんですよね。
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いったい、味覚とは何か?
食べ物のおいしさを決める要素として、味、香り、テクスチャー(口ざわり、口あたり、舌ざわり、歯ごたえともいいます)などがあげられます。・・・食べ物自身に含まれるおいしさがそのまま投影されるものではありません。食べる人の過去の食事体験や喜怒哀楽の感情、空腹の度合、健康状態などもおいしさを決定づける重要な要素です。このように食べ物のおいしさは「食べ物自身の要素」と「食べるヒト側の環境」が複合されたものです。
食べ物情報は、脳内でどのように処理され、おいしさの評価が行われているのでしょうか。・・・各感覚野に送られた情報は、大脳皮質連合野で統合・評価されます。例えば、“ごはん”を食べたときには、つやがある、香りがよい、甘味・うま味がある、粘りがあるといった情報がここで統合され、“ごはん”という食べ物の総合評価が行われます。この大脳皮質連合野の食べ物情報はさらに扁桃体に送られます。ここで過去に経験した食べ物との照合が行われます。これまで何度か食べたことがある食べ物に対しては、食べてもよいという判断が下されますが、未知の食べ物には不安感を生じさせます。これらの情報も含めて、その食べ物が快感をもたらすものか、不快感をもたらすものかの判断がなされます。教育・研究の解説シリーズ】28おいしさと健康 鈴峯女子短期大学 岡本 洋子
つまり、味覚とは記憶の積み重ね。言語や思考と同じですね。
だからこそ、添加物の味に慣れると本来の素材の味が分からなくなる。
添加物も食べなれた味=美味しい。だから、私にとっては魚肉ソーセージも美味しい。
で、添加物味に慣れると何が不都合なのか?
同じく安部氏にインタビューから
安部: 手作りのメーカーに職人の魂を売らせる、私の“悪魔のささやき”ですね。あれは、ほんの一例です。添加物を使えば、長年培ってきた“職人の技”がなくても、ある程度のレベルのものを安く、簡単に作れるようになります。職人のプライドを持って仕事をしてきた親父さんを、「そんなつらい仕事、息子さんは継ぎませんよ」という言葉で決断させたこともありました。 日経BP
添加物は味、香り、テクスチャー全てを自由に作り出すことが出来る。
民族がその風土で連綿と伝えてきた食事を破壊する。
伝統食は絶妙なバランスで生体に必要な食事を供給した。
“職人の技”でなくとも家庭の味で充分健康を保った。
しかし、添加物で作り出す味は家庭では作れない。そして、添加物に慣れれば添加物を使う食事しか美味しくなくなる。伝統食の味覚に付随した多くの栄養素が無視されてしまう。
これでは微妙な生体のバランスが保てない。
バランスが保てないから、不足分をまた添加物で補う事になる。
物質が(天然物であろうと人工物であろうと)毒になるか否かは量で決まる。
その意味で、使用が認められている添加物を使っても、すぐにどうこうする問題は無い。
しかし、逆に言えば砂糖だって大量に摂取すれば毒になる。これに対する生体の違和感を無くしてしまうのが添加物なのだ。
優秀だった伝統食は破壊され、少しずつ味覚と記憶と体のバランスは崩れてゆくことになる。