こんにちは、simasanです。
前回「温暖化は都市化によるヒートアイランド現象か?」 [1]
では、「人間による工業生産活動が地表面の改変、大気の熱収支バランスを急変させ、フィードバック過程を通して急激な温暖化が起き始めた可能性が極めて高い」と書きましたが、ヒートアイランド現象ってどうして起こるのか?そのメカニズムについて調べてみました。
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①地表面の改変がどれだけ温度上昇に影響しているのか?
図1 は地表面がアスファルト,コンクリート,裸地,芝生の場合について,晴天日の地表面温度の日変化を比較したものです。
図1 4種類の地表の地表面温度の日変化。 (杉本・近藤、1994;地表面に近い大気の科学、より転載) [2]
アスファルト面は反射率が小さいので、コンクリート面より日中の温度が上昇している。芝生地では蒸発が最も盛んで,地表面に入る日射量の多くが蒸発の潜熱に費やされるため昇温しにくい。アスファルト面と芝生地では正午の温度は,10℃も違う!。
当然、各地表面上の気温も地表面温度に応じて変わってくる。つまり,砂漠のような蒸発量の少ない地域では,蒸発散が盛んな森林・草地に比べて,気温も高くなるということです。
次に
②建築物が増え、都市化・高層化が進むとどうなるか?
ほとんどの物体は赤外線を放射しています。赤外線の放射により、物体のもっている熱は失われ温度が下がります。
都市構造物が増え、さらに道路が舗装されると地表面の熱的パラメータ(体積熱容量と熱伝導率)が減り、冷却速度が鈍くなります。
日中は逆に、熱的パラメータが小さいほど、地温の上昇は激しい。つまり土壌中(積雪中)に水分が少なければ、熱容量も熱伝導率もともに小さく、地温変化が大きくなるわけだ!。
代表的な土壌その他の熱的パラメータの概略値。 (水環境の気象学、表6.9、より転載) [3]
都市化の放射冷却に及ぼす要因 [3]
ビルの谷間でも同様の関係となる。断面が長方形で高いビルが奥まで続いているとし、ここに冷気が流れ込んできた場合を想定する。ビルの壁面のうち、地面付近の部分 B では天空はわずかしか見えないので、夜間の放射最大冷却量はゼロ。したがって、放射冷却はほとんど生じません。
分かり易い事例として、平坦地における値と、円錐状盆地底における値との差は、盆地底から眺めた稜線高度角と共に大きくなる。稜線高度角が30度のとき80%程度に、同50度のとき45%程度に減少する。したがって、放射最大冷却量はこの割合で小さくなる。極端な場合として、深井戸のような地形では放射最大冷却量はゼロとなります。 なるほど、盆地が夏の夜でも暑いのはこの原理によるのです。
また、構造物が建つと、大気と接する表面積が平坦地に比べて増加するので、水平な面でみたときの地表層の見かけの熱容量が大きくなります。それゆえ、地表層が同じ物質でできているとした場合、都市では見かけの熱的パラメータが大きくなり、夜間の冷却速度は弱くなることも影響しています。
さて、ではこれら地表面の改変がどれだけ広域的な温暖化に影響しているのでしょうか?少し、難しい話になりましたが、次回は、都市構造物で風の流れが変わることがどう影響するか?、また、広域に影響を与えているか?調べてみたいと思ってます!