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バイオエタノールは環境問題と食糧問題を招く

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 代替燃料としてのバイオメタノールの採用について、3/26、ブッシュ大統領がガソリン消費量の20%削減を標榜しました。地球温暖化対策としても期待されているようですが、
『果たして、代替エネルギーたり得るのか?と思ったひとは、クリックお願いします!』

 
 


 このバイオエタノールには、アメリカ・中国を中心にとうもろこしから造られるものと、ブラジルを中心にサトウキビから造られるもの、そして、EUを中心に小麦から造られるものと様々です。基幹産業のエネルギーは政策的にも、自給すべきものです。その結果、各ブロック経済圏における独自の路線が敷かれているのが現状で、脱石油を模索しはじめています。
 
 これらの作物から、以下の過程でエタノールが造られますが当然、この製造過程でもエネルギーが投入されることとなります。
 ①洗浄
   ↓
 ②粉砕
   ↓
 ③蒸煮
   ↓
 ④糖化(酵素アミラーゼ投入)
   ↓
 ⑤発酵(酵母投入) 
   ↓
 ⑥蒸留
   ↓
 ⑦エタノール(これでも容積比7~10%濃度なので水を分離する必要有り)

25日付のワシントン・ポスト紙は「トウモロコシはわれわれの問題を解決しない」という論文を掲載した。
トウモロコシを原料にしたエタノールは、生産過程で大量の化石燃料を使用するため、新エネルギー創出は1ガロン当たり20%にとどまる。温室効果ガスの排出量も同量のガソリンを消費した場合より15%少ないだけだ。トウモロコシ原料よりも効率性が優れたブラジル産のサトウキビ原料エタノールも、増産で熱帯雨林が伐採されれば、結果として二酸化炭素排出量の増大を招くという。

参照;温暖化対策“切り札”エタノール、効果に「?」 [1]

 つまり、カーボンニュートラルではないにも関わらず、co2排出量においては±0として、計上されていきます。実際の効果はともかく、
CO2排出権取引の格好の抜け道
としてもくろんでいるのではないでしょうか?
次に、この燃料作物は、その他の農作物とくに食糧政策にどう影響を与えるでしょう。ブラジルの事例を見てみます。もともとサトウキビは16世紀にポルトガルの植民地になった段階から、換金作物としてプランテーション化されたのが始まりで、砂糖を造るためのものでした。1822年独立。1931年には世界に先駆けてエタノール燃料政策を開始します。その後、国内に油田が発見されたにも関わらず、オイルショックを経て1975年には、国家アルコール燃料計画を制定します。これと並行して、サトウキビの生産量は2004年までに4.5倍にまで拡大しました。(耕作地も3倍に拡大)
ブラジルの農作物は
サトウキビ 3.9億ton (世界シェア28.8%)
オレンジ  0.17億ton (世界シェア27.8%)
コーヒー  200万ton (世界シェア27.7%)
大豆    0.51億ton (世界シェア27.2%)
が主流で、サトウキビの比重が高まれば、世界の食糧庫としての打撃が予想されます。現にブラジル政府は今後8年間で倍増しようと計画しています。

参照;ブラジルの農業概要 [2]

 つまり、国家が農政に対する統制を誤れば、市場原理のなすがままとなり、あっという間に食糧難に陥ってしまうことを意味しています。
 
 結局、エネルギー資源として、農作物を基本におくには、市場原理のままでは環境問題や食糧問題を連鎖的に引き起こすリスクが高いものであるといえるのではないでしょうか?だからこそ、国民、あるいはそれを超えた万人の合意形成があってこそ成立するものだと思います。

[3] [4] [5]