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バイオマスってなに? 2 (バイオマス利活用は普通!?)

前回に引き続きバイオマスを扱っていきたいと思います。

お付き合い願いしますm(_ _)m

   


satoukibi.jpgバイオマスの活用事例を探索していたところ、「沖縄では20年以上も前(1980年代)から、年間圧搾量10万トン以下の製糖工場では、排出されるバガス(サトウキビのしぼりかす)は燃料としてほとんど消費してしまいます。 」という記述がありました。


参考;バイオマス資源としてのさとうきびバガス [1]

『バイオマス発電』バイオマス発電とは [2]

   


つまり、落葉や糞尿を肥料として、あるいは里山から得られる薪炭をエネルギーとして利用するなど、家庭でのバイオマス利活用を企業(工場)でも利用していたのです


   


これは、『バイオマスってなに? 1』 [3]「高度成長期以前の日本はバイオマスを活用した社会」という引用とは矛盾するのでは という疑問が・・・・・ 🙁


   


1950年代半ばから1970年代初頭までの高度成長以降に、なぜバイオマスが見直されたのか


   


もっと知りたいと思った方は ポチっとお願いします



高度成長期に農村などの地方はどのような状況に置かれたのか

少し長くなりますが、以下に林業の状況を引用します。 m(_ _)m

1960年代から今までに、日本の木材生産というのは3分の1になった。そして今、私たちが家を建てる場合に、木質の材料を使うと思いますが、その木質の材料で中山間地に還元されている部分というのが、どんどん圧縮されている。だから山主たちが受け取る立木代の価格、それは80年代初めに比べたら、半分になっていると思います。

今のままいったら、日本の森林というのは、非常に安い原料の供給基地になってしまう。全部、都会、工業部門に吸い取られてしまう構造になってしまったわけです。だからそうする、やはり農村は農村で、もっと自立することを考えなければならない。

そういうことで、どんどん価格が押し下げられるので、木を切って出しても、全然コストが合わない、そういうことになりますと、食べていけないので、農村の若い人たちは外に出ていく。農村の若い人が外に出て行ったら、もう山の管理はできなくなるわけです。

日本では40%ぐらいの森林を、人工林にしました。ところがそのせっかく人工林にしたのに、手入れができなくて、山が過密になって、活力を失うという非常にこの深刻な状況になっているわけです。

参考;『バイオマス・トピックス』日本の中山間地とバイオマスの利用 [2]

   


’70年初頭の高度経済成長期の終焉は「物的豊かさの実現」=「貧困の消滅」を示しています。この貧困の消滅により心底では私権衰弱が進みますが、表面的には私権追求の可能性が開かれ、皆が実質価値から幻想価値(快美欠乏や性欠乏など)へと価値が移行していきます。

参考;『私権闘争の抜け道が、交換取引の場=市場である』 [4]

『改めて市場の問題性を探る 農業と市場の関係』 [5]

『物的需要の限界は1970年頃!』 [6]

   


したがって、農業や林業などの「自然界に働きかけて直接に富を取得する産業」である第一次産業はどんどん廃れていく過程に入ることとなります。また、同時に農村部などの地方では人口が減少(都市部の人口集中)し、第一産業の就業人口も減少します(下表;参照)。

つまり、第一次産業を取り巻く外圧は高くなってきたと思われます。

   
























■産業(3部門)別就業人口および割合
区分第一次産業第二次産業第三次産業
年次就業人口割合就業人口割合就業人口割合就業人口割合
昭和40年11,85724.715,11531.520,96943.747,960100.0
45年10,14619.317,89734.024,51146.652,593100.0
50年7,34713.818,10634.127,52151.853,141100.0
55年6,10210.918,73733.630,91155.455,811100.0
60年5,4129.319,33433.133,44457.358,357100.0
平成02年4,3917.120,54833.336,42159.061,682100.0
07年3,8206.020,24731.639,64261.864,142100.0
12年3,1735.018,57129.540,48564.362,978100.0

※人口;1,000人、割合;%
参考;一般人口統計 -人口統計資料集(2006年版)-Ⅷ.労働力 [7]

   




   


前段の「沖縄におけるバガス利活用」も同じような構造だと思われますが、周辺を取り巻く外圧状況の変化に対応して、昔ながらの知恵を活かし再利用できる資源を純粋に利活用しているだけであり、再利用できる資源と云うのが第一次産業においてはバイオマスであった(しかなかった)ということではないでしょうか。

そして、もっと言えば当たり前のことを当たり前に行っていただけなのです。しかし、この事こそ「外圧状況を直視した結果、生産(構造)の再編を行った」『適応してきた』であり、自然の摂理となんら変わらない構造になっていたように思います。 😮


   


『バイオマスってなに? 1』 [3]で述べたように、日本のバイオマス利活用技術が高いレベルにある所以は、自然の摂理に則した適応態であったからだと思われます。


   




   


このように日本においては適応態として普通に利活用されていたバイオマス。

いつからお題目化してしまったのでしょうか?次回はこのあたりを探ってみたいと思います。

   


長文にお付き合いいただき、ありがとうございます


by 村田頼哉

   


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