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ダムは本当に必要か?

こんにちは~nannokiです 😀
長野県では「緑のダム 」宣言を掲げてきた田中行政が倒れ、脱「脱ダム宣言」の村井仁知事が誕生しました。ダム建設の再開が示唆され、それを後押しするようなダム建設の正当論も幾つかあるようですが、
果たして本当にダムは必要なのでしょうか
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鈴木さんの『森のダム問題にある背後の問題』に引き続いて私もコメント してみたいと思います。
まず、「緑のダム」に対して「ダムは必要」とする国土交通省の論理は大きく以下のようなもの。

1我が国は、世界の中でも北欧諸国等に次ぎ森林面積率の高い国です。
2治水計画は、こうした森林の保水機能を前提に計画されています。
3国土面積の約2/3を森林が占め、現在は歴史上森林が良好に保存されている時期に属し、これ以上森林を増加させる余地は少ない状況です。
4森林は、中小洪水に一定の効果を有するものの、治水計画の対象となるような大雨の際には、森林域からも降雨はほとんど流出することが観測結果からも伺えます。
5森林の水源涵養機能については学説が定まっておらず、森林整備による効果の定量的な評価は困難ですが、森林の増加は樹木からの蒸発散量を増加させ、むしろ、渇水時には河川への流出量を減少させることが観測されています。

http://www.mlit.go.jp/river/opinion/midori_dam/midori_dam.html [1]
簡単に言うと、森林は現在も充分あり、治水計画は森林の保水能力をちゃんと前提にしている。それでも大雨の時は森林だけでは不充分だからダムは必要 😡 という事のようだ。
本当かな
と思った方はポチッっと


まず「森林は現在も十分にある 」しかも「良好に保存されている 😉 」との事だが、確かに森林面積は国土の2/3を占め100年前から殆ど変わっていないようだ。都会暮らしの私には「へ~結構あるんだ 」と思ってしまった。
しか~し
面積は変わっていなくっても、森林の植生状況は随分と変わっているんです。日本の森林は林業が活気づいていた頃、杉 やヒノキ をたくさん必要としていたのでせっせと植林したんですね。こうして出来た森林を人工林 といいます。
しかし木材が次第に使われなくなり林業が衰退してからというもの、人工林は管理放置状態になってしまった。間伐や枝打ちをせず管理放置された人工林では、土壌が崩壊し保水能力の無い土砂崩れを起こしやすい森林になります そのメカニズムはこちらを参照。
http://eco.goo.ne.jp/education/kanbatsu/kanbatsu2004/01_2.html [2]
森林の保水能力を考える為には森林面積よりも適切な植生環境 とそれを実現するための手入れ が重要なんですね。
before.gif管理放置の人工林
after.gif手入れが行き届いた人工林
ではどのような植生環境 が適切なのか?というのはその場所ごとの追求課題の一つ。
横浜市では人工林の適切な間伐と広葉樹をバランスさせた混交林の再生により緑のダムを実現している例や、吉野川で行われた調査では広葉樹の浸透能は人工林の約2.5倍になるとの報告もあり、植生状況の改善によって森林の保水能力(さらには治水能力)の向上は可能性大
なのは間違いなし。
横浜市の例
http://www.city.yokohama.jp/me/suidou/ja/mizu/sui_hozen.html [3]
改めて「森林面積はもう充分なので保水能力を持たせる為の森林拡大の余地はない。だからダムは必要!」という論理はあまりにもお粗末(というかすり替え? 😥 )に聞こえるのだが、そう聞こえるのは私が素人だから?
次回は『大雨時には森林の保水能力は期待できない?』『渇水時には森林が不利に働く?』を検証してみたいと思います!

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